犬棒カルタの「り」は良薬は口に苦し。
「うぇっ、苦~い!」
「つべこべ言わずに飲み込みなさい!良薬は口に苦しって言うでしょ!」
という風に使います。
でも最近は薬も飲みやすくなったので苦いのは一部の漢方薬くらいかな。
現代と違ってむかしは戦争、喧嘩、事故でひとは絶えず外傷に悩まされていました。また衛生環境が整っておらず感染症に対する意識も乏しかったためウイルス感染や細菌感染や寄生虫感染は日常茶飯だったと思われます。そんな時代に人々はただ手をこまねいて悪化する事態を見ていたのでしょうか。
苦い漢方薬にはしばしば黄岑、黄連、黄柏、大黄といった黄色系の生薬が含まれています。
しかもこれら黄色系の生薬を含む漢方薬は殺菌効果や抗炎症効果があるとされています(リンク)。つまりこれらの苦い系の漢方薬は外傷や感染症など生命に危険が及ぶ可能性のある病態に対し、急いでなんとかしないといけない状況で使用される頻度が高かったと思われます。
漢方薬には慢性疾患に対し長期服用することで徐々に改善を期待する系統のものと、先ほどのように早く効果が現れることを期待する系統のものがあります。そういった状況でその薬が効かなければ人々は呆れて使わなくなるでしょうし、逆に効果があれば「良薬」として認知されるでしょう。「良薬」に実感が伴っていたからこそ生まれたことわざかもしれません。
苦い漢方薬には黄岑、黄連、黄柏、大黄といった黄色系の生薬が入っていることが多く、それらは共通して消炎・殺菌系の働きを持っているように思います。黄色系の成分がそれと関係しているのでしょうか?
以上のような質問をChatGPTに投げかけてみたところ以下のような返事を得ました。
はい、かなり鋭い着眼点です。ただし、「黄色い色そのものが消炎・殺菌作用を持つ」というより、黄色を呈する成分と薬理作用を担う成分が重なっている、と考えるのが適切です。
代表的な4つを見ると分かりやすいです。
| 生薬 | 黄色の主な成分 | 主な薬理成分 | 代表的な作用 |
|---|---|---|---|
| 黄芩(おうごん) | フラボノイド類 | バイカリン、バイカレインなど | 抗炎症、抗菌など |
| 黄連(おうれん) | ベルベリンなど | ベルベリン | 抗菌、抗炎症、止瀉 |
| 黄柏(おうばく) | ベルベリンなど | ベルベリン | 抗菌、抗炎症、止瀉 |
| 大黄(だいおう) | アントラキノン類など | センノシド、エモジンなど | 瀉下、抗炎症など |
特に面白いのが黄連と黄柏です。両方とも非常に鮮やかな黄色をしていますが、その黄色に大きく寄与しているのがベルベリンというアルカロイドです。そしてベルベリンには実際に抗菌作用や抗炎症作用があります。
一方、黄芩の場合は黄色の中心となるのはフラボノイド系化合物で、バイカリンやバイカレインなどが抗炎症作用などに関与しています。
つまり、
「黄色い生薬には消炎・殺菌作用が多い」
→ これは経験的にはかなり当たっている。
しかし、
「黄色だから消炎・殺菌作用がある」
→ これは違う。
ということです。
なぜ黄色いものにそういう成分が集まるのでしょう?
ここが実は非常に興味深いところです。
植物の黄色~橙色を呈する物質には、フラボノイド、アルカロイド、アントラキノンなど、比較的広い種類の化合物があります。その中には植物自身が微生物や紫外線などから身を守るために作っている二次代謝産物が多く含まれます。
つまり、
植物が自分自身を守るために作った化学物質
→ 微生物の増殖を抑える
→ 人間が利用すると抗菌・抗炎症作用として現れる
というケースがあるわけです。
ただし、黄色い植物成分のすべてに抗菌・抗炎症作用があるわけではありません。
さらに面白いのは、漢方ではこのような生薬を単独ではなく、黄連解毒湯、三黄瀉心湯、黄連湯、葛根黄連黄芩湯などのように組み合わせて使います。黄連・黄芩・黄柏・大黄などが複数入る処方では、結果として**「黄色い苦い薬」**になりやすいのです。
そして「苦い」という点にも理由があります。ベルベリンなどのアルカロイドやフラボノイド類には強い苦味を示すものがあり、黄色・苦味・薬理作用が同じ化学成分に由来する場合があるのです。
ですから、かなり乱暴にまとめると、
「黄色くて苦い生薬には、植物が防御のために作った生理活性物質が多く、その中に抗菌・抗炎症作用を持つものが多い」
というのが、質問に対する一番近い答えだと思います。
ということでした。なるほど、植物が自らを守るために作り出した成分を漢方として利用しているということですね。勉強になりました。
追記:漢方薬も薬です。副作用があります。外傷・感染症を含め身体の不調を自己判断で内服治療せずに必ず医師の診療を受けて下さい。






